こんにちは。
2020年度都立高校入学試験が終わりました。
ここでは、2020年度
都立高校入学試験の「理科」の解答と解説
をしたいと思います。
理科の問題が難しくなった!という話もありますがどうだったでしょうか?
2021年度はこちら

2020年、都立高校入試、理科の解答と解説:大問1,2
大問1から
問1:
有性生殖の問題です。
受精卵ができて、細胞分裂で胚になりますね
染色体の数は同じです。
理解があいまいだと、迷う問題ですね。
答え「イ」
問2:
電気分解の問題です。
電気分解では
陽極に陰イオン、陰極に陽イオン
が反応します。
陽極:2Cl-→Cl2+2eー
陰極:2H++2eー→H2
の反応が起きます。
気体の発生量は同じですが、
陽極で発生する塩素は水に溶けやすいので
気体Bはあまり集まりません。
答え「ウ」
問3:
力とエネルギーの問題です。
仕事量(J)=力(N)×距離(m)
仕事率(W)=力×距離÷時間(s)
です。
1.5×1.6÷2=1.2Wになります。
答え「ア」
仕事率は力×速さでも求められます。
問4:
火成岩の種類の問題です。
斑状組織の岩石なので玄武岩
斑晶は有色なのでカンラン石
となります。
「はんれい岩は斑状組織ではない」
これ、中学受験でもある引っ掛けですね。
答え「エ」
問5:
物質の分解の問題です。
酸化銀の化学式はAgOでなくAg2O
これが重要です。化学反応式は
2Ag2O → 4Ag + O2、
になります。
答え「イ」
大問1は、今年は5問でした。
どこかで見たことがある問題が多かったので
しっかり勉強した人には問題なかったと思います。

大問2
問1:
湿度と露点の問題です。
空気が冷やされて露点よりも低くなると
霧が発生する。
その時の湿度は
「露点の飽和水蒸気量÷室温の飽和水蒸気量」
なので、21.8÷12.1=55.5(%)
答え「ウ」
問2:
水溶液の融点の変化の問題です。
表2より、塩化カルシウムの量が多いほど
融点が下がることがわかります。
「変わらない」「沸点」と書いてある選択肢は間違いになります。
答え「イ」
この問題、選択肢が少しわかりにくいですね。
問3:
光の性質の問題です。
「光が反射するときに、入射角と反射角が等しい」
ことを正しく作図できているのは「ア」だけ。
答え「ア」
この問題、注意する必要があります。
点線の道筋は水の中を進んでいる光を表していません。
「屈折していない!」と誤解しないように。
問4:
動物の分類の問題です。
内臓が外とう膜に覆われているのは軟体動物
水質階級は、指標生物の個体数が一番多い階級
を選ぶので階級はIIになります。
答えは「エ」になります。
大問2は、難しくはないですが、問題文をしっかりと読まないとうっかりミスをしてしまう可能性があります。理科でも国語の読解のようにアンダーラインを引くのも良いと思います。

2020年、都立高校入試、理科の解答と解説:大問3,4
大問3
大問3は、太陽の動きについての問題です
問1:
図3より、1時間に2.4cm進むことがわかります。
よって、15時から9.6÷2.4=4時間後
19時に日の入りと分かります。
答え「ウ」
問2:
北半球が夏至の時、南半球は太陽が出る時間は
一番短い時期になります。
また、南半球では太陽は
東→北より→西と動きます。
答え「エ」
「イ」ではないので注意です。
問3:
記述問題ですね。
「南中高度が高いほど、太陽の光が当たる角度が地面に対して垂直に近くなる。垂直に近いほど、面積当たりの太陽光の当たる量が多いから」
これは、太陽光パネルが傾いているのは何故か?
という身近なものと考え合わせる問題ですね。
模範解答には入っていませんが、「南中高度が高いほど」という表現は入れるべきだと思います。
問4:
太陽の光を垂直に集めるためには
水平(0°)のときは、90°に、
垂直(90°)のときは、0°に
すればよいことを考えると、
「90°-太陽高度」
という関係にあることがわかる。
図8では、90-d=cの関係になる。
南中高度dは、
90-35.6-23.4=31.0°
c=90-31.0=59.0°
答えは①が「ア」②が「ウ」
になります。
大問3は、考えさせたり、記述したりと少し難しい問題だったと思います。都立中高一貫校の適性検査にも似ていて、こういう問題が今後増えると思います。

大問4
大問4は、消化酵素の動きについての問題です
問1:
結果1より、唾液の働きで
でんぷんが分解されるのはAとC
糖ができることはBとDを
それぞれ比較すれば確認することができる。
答えは①ア②ウ③ウ
問2:
結果1より、酵素Xは、でんぷんは分解しない
そしてたんぱく質は分解するのでペプシン。
加熱すると、酵素が働かなくなるので
タンパク質を分解しない。
答えは「エ」
問3:
でんぷんは、唾液やすい液などで
たんぱく質は胃液とすい液などで
それぞれ分解される。
最終的にでんぷんはブドウ糖に
たんぱく質アミノ酸に分解されて
小腸から吸収される。
答えは①イ②ア③エ④イ
になります。
すい液はでんぷん・たんぱく質・脂肪
すべてを分解することができる優れものです。
問4:
記述問題です。
小腸の内壁は、柔毛でおおわれていることで表面積が大きくなり、より効率的に栄養素を吸収することができる。
と書けば正解です。
2年生の期末テストで書いたことがあるのではないでしょうか?
大問4は、比較的答えやすい問題たと思いますが、やはり問題文をよく読んでどういう目的の実験をしているのか?を確認することは必要です。

2020年、都立高校入試、理科の解答と解説:大問5,6
大問5
大問5は、物質の性質についての問題です
食塩・ショ糖(砂糖)・炭酸水素ナトリウム・ミョウバンを区別する実験です。
問1:
4つのうち、砂糖だけが有機物です。
有機物は炭素の化合物で、燃えて二酸化炭素を出します。不完全に燃えて焦げることもあります。
砂糖やろうはその仲間ですが活性炭は違います。
少しややこしい選択肢だと思います
答え「イ」
問2:
物質Dが砂糖であることがわかりました。
残り3つのうち、ミョウバンは融点が低いので
熱すると溶けます。物質Aがミョウバンです。
残り2つを加熱すると、炭酸水素ナトリウムは、
熱で分解して、二酸化炭素と水を出します。
したがって気体が出た物質Bが炭酸水素ナトリウムです。
二酸化炭素は水に溶けて、その水溶液は酸性で、
石灰石に薄い塩酸を加えることで発生します。
答え①ウ②ア
問3:
残った物質Cは塩化ナトリウムです。
水に溶かしたときの電離の様子は
NaCl → Na+ + Cl-
と表すことができます。
問4:
4つの物質を水に溶かす実験です。
<実験2>の表から、20℃、100gの水に20g以上溶けるのは塩化ナトリウムとショ糖、溶け残るのは炭酸水素ナトリウムとミョウバンです。
40℃の水では、100gの水にミョウバンは23.8g溶けるので、20gのミョウバンは、すべて溶けます。
20℃に冷やすと、ミョウバンは11.4gしか溶けないので20.0-11.4=8.6g
のミョウバンが結晶となて取り出すことができます。
答え:ミョウバン・8.6g
大問5はやや難でしょうか?化学分野の内容が、学年をまたがって出題されています。
化学が苦手な人には問題を解いていくうちにだんだん頭がこんがらがってしまったかもしれませんね。

大問6
大問6は、電気回路についての問題です
問1:
<結果1>の表からグラフを作る問題です。
これは点をプロットしてまっすぐ線を引くだけですね。
省略!
問2:
直列回路の時は、回路に流れる電流の値は等しい
直列回路の電熱線Bに流れる電流は0.5A
並列回路の時は、各区間にかかる電圧と全体の電圧が等しい。よって電熱線Bにかかる電圧は、5.0V
<結果1>の表より、5.0Vの時1.25A
求める比率は0.5:1.25=2:5
答え:「イ」
問3:
電熱線の発熱量の和は、回路全体の電気量である。
回路に流れる電気量と回路全体の電圧から求める。
電気量は、電圧×電流×時間(秒)なので
5.0×2.1×300=3150J
答え「エ」
この問題を解くときに、いちいち電熱線Aと電熱線Bに流れる電流を求める必要はありません。
ちなみに直列につないだ場合は
5.0×0.5×300=750J
になります。
問4:
日本語の問題ですが、
「抵抗が大きい」=「流れにくい」
ということです。
また、電熱線は電気エネルギーを熱エネルギーに変換しています。
答えは「ア」になります。
問2、問3は難しそうですが、いちいち電熱線A、電熱線Bの抵抗の値を求めたり、並列回路に流れる電流を計算で求める必要はありません。
参考
問2で
電熱線Aは、3.0÷0.5=6.0Ω
電熱線Bは、2.0÷0.5=4.0Ω
と抵抗を求めてから、
並列回路の電熱線Bに流れる電流
5.0÷4=1.25A
と求めても良いです。
問3で
電熱線Aには5.0÷6=0.8333A
電熱線Bには5.0÷4=1.25A
って、やると大変なことになります。

2020年、都立高校入試、理科の解答と解説:まとめ
2020年度
都立高校入学試験の理科の解説
をしました。
昨年よりも、考える問題が増えたり、記述式問題があったりと難しくなったと思います。
中1から中3までの中間、期末テストを一度解きなおすことから始めると良いような気がします。
失くした人!は、教科書ワークの「期末テスト予想問題」を解くと良いでしょう
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