今日は数学Aの条件付確率の解き方についてみていきます。条件付き確率は、一見ややこしく感じますが、解き方次第ではとても簡単です。
くじの問題・赤玉白玉の問題・サイコロの問題・不良品の問題を例に解説していきます。

数学A条件付確率の解き方1:くじの問題
それでは、問題を解きながら見ていきましょう。
問題
当たりが4本入った12本のくじがある。
このくじを、A,Bの2人がこの順に1本ずつ引く。
ただし、引いたくじは戻さない。
1)Aが当たる確率、Bが当たる確率をそれぞれ求めなさい。
2)Aが当たったとき、
Bが当たる条件付き確率を求めなさい。
3)Bが当たったとき、
Aがはずれである確率を求めなさい。
4)AもBもはずれである確率を求めなさい。
くじの問題を考える時にまず重要なのは
「くじを引く順番によって当たる確率は変わらない」
ということです。
そうですよね、引く順番で当たる確率が違ってたらくじになりませんよね。
もし最初の方が当たる確率が高いなら、宝くじは最初に買った方が得することになりますよね。
でもそんなことはありません。
宝くじはいつ買っても当たる確率は同じです。
1)12本中当たりが4本なので、
AもBも、当たりを引く確率は
4/12=1/3
となります。
12人でくじを引いたとき、
1番目でも12番目でも、
当たる確率は同じで、1/3です。
しかし、誰かの結果が分かっている場合は、
確率は変化します。
Aが当たりかどうかわからない場合
Bが当たりである確率は
12本中当たり4本なので4/12=1/3です。
2)ここで、Aが当たりと分かっていると、
Bが、くじを引く条件は、
Aの当たりの分を引いた条件
「11(12-1)本中、3(4-1)本が当たりのくじ」
に変わります。
したがって、Bが当たりである確率は
3/11
になり、確率が下がります。
このように、くじ引きの場合
誰かの結果が分かっていると
条件と確率が変化します。
3)誰かの結果が分かっていると
条件と確率が変化するのは、
くじを引く順番とは関係ありません。
Aが、くじを引く条件は、
Bの当たりの分を引いた条件
「11(12-1)本中、3(4-1)本が当たりのくじ」
に変わります。
Aが当たりだった時の
Bの当たりの条件と同じです。
この時、Aがはずれである確率は
8/11
になります。
4)
Aがはずれの確率は2/3
Bがはずれの確率も2/3
AもBもはずれの確率は
2/3×2/3=4/9!
という間違いをしそうですが、
この場合も、条件が変化しています。
Aがはずれと分かった段階で
はずれのくじが1つ減ります。
Bの外れる確率は、
2/3 (4/12)から、7/11に変化します。
AもBも、はずれの確率は
2/3×7/11=14/33
が正解になります。
このように、
「くじを引く順番によって、当たる確率は変わらない」
一方で、
「一人の結果が分かると条件と確率が変化する」
ことが、くじ引きの問題の確率を解く場合のポイントになります。

数学A条件付確率の解き方2:赤玉・白玉の問題
次に赤玉・白玉を取り出す問題を見てみます。
赤玉が3個、白玉が2個入った箱Aと
赤玉が4個、白玉が1個入った箱Bがある。
サイコロを投げて、1,2の目が出たら箱Aから、
3,4,5,6の目が出たら箱Bから球を1つ取り出す。
この時次の確率を求めなさい
5)取り出した球が赤玉である確率
6)取り出した球が赤玉であった時
それが箱Aから取り出した赤玉である確率
赤玉白玉を取り出す問題は、条件付き確率で
一番よく見る問題かもしれません
場合分けをして確率を求めればOKです。
5)箱Aから赤玉を取り出す確率
1/3(サイコロ)×3/5(箱の中の赤玉)
=1/5
箱Bから赤玉を取り出す確率
2/3(サイコロ)×4/5(箱の中の赤玉)
=8/15
二つを足して
1/5+8/15=11/15
箱Aから赤玉を取り出す確率と
箱Bから赤玉を取り出す確率は、独立なので
それぞれを求めて足します。
6)
赤玉を取り出す確率(全体の確率)は11/15
箱Aから赤玉を取り出す確率は1/3
この場合箱Aから赤玉の確率から
全体の確率を割ればいいので
1/3 ÷ 11/15 =15/33 = 3/11
条件付確率の求め方として
「特定の条件の確率を、全体の確率から割る」
という方法があります。
赤玉・白玉の問題はこの方法で求めます。

数学A条件付確率の解き方3:不良品の問題
マスクを作る工場A、Bがある。
このマスクは工場Aで70%、工場Bで30%作られている。
このうち、工場Aでは1%、工場Bでは2%のカビ付きの不良品が出た。
次の確率を求めなさい。
7)配られたマスクがカビ付き不良品である確率
8)配られたマスクがカビ付き不良品であるとき
それが、工場Bで作られたものである確率
問題の考え方は、赤玉白玉問題と同じです。
%で表現されているところが違うだけです。
7)工場Aから不良品が出る確率
70/100×1/100=7/1000
工場Bから不良品が出る確率
30/100×2/100=6/1000
二つを足して
13/1000
工場Aから不良品が出る確率と
工場Bから不良品が出る確率は、
独立なので
それぞれを求めて、足します。
8)全体の確率は13/1000
工場Bから不良品が出る確率は6/1000
工場Bから不良品が出る確率から
全体の確率を割ればいいので
6/1000 ÷ 13/1000 = 6/13
%で表現されていることだけ気をつければ問題なく解くことができると思います。
0.2%なんて数字が出てくる問題も、あるのでその場合、面倒ですが

数学A条件付確率の解き方4:応用問題にもチャレンジ
条件付き確率の解き方について、見てきました。
それでは、応用問題にチャレンジしてみましょう
問題
1から20までの数が1つずつ記された20枚のカードがある。このカードから、元に戻さず2枚引くとき
次の確率を求めなさい。
9)2枚目が5の倍数である確率
10)2枚目が5の倍数であった時、
1枚目のカードが5の倍数である確率
(青山学院大改)
これは、くじ引きの場合と同じ考え方です。
9)20枚のカードのうち、5の倍数は
5,10,15,20の4枚です。
したがって求める確率は
4/20=1/5
になります。
結果が分からない場合は
何枚目でも確率は同じで1/5です
10)2枚目のカードが5の倍数と分かっています
したがって、残り19枚の中には
5の倍数のカードは、
1枚減って、3枚になります。
求める確率は 3/19になります。
この場合も、1枚のカードの結果が分かると
それによって条件と確率が変化します。
問題
ある病気Xにかかっている人が4%いる集団Aがある。
病気Xを診断する検査で、病気Xにかかっている人を陽性と正しく診断できる確率は80%である。
また、この検査で病気Xにかかってない人を誤って陽性と診断してしまう確率は10%である。
次の問に答えなさい。
11)陽性と診断された人が、実際に病気Xにかかっている確率
12)陰性と診断された人が、実は病気Xにかかっている確率
(岐阜薬科大学改)
この問題は、赤玉白玉、不良品の問題と同じですが、今回は、集合の要素を用いて解きます。
集団Aの数を1000人とする。
すると、病気Xにかかっている人は
1000×0.04=40人
かかっていない人は960人である。
陽性の人を検査すると、
80%の人を正しく陽性と診断するので
40×0.8=32人:陽性と診断された陽性の人
40×0.2=8人:陰性と診断された陽性の人
陽性の人を検査すると、
10%の人を誤って陽性と診断してしまうの
960×0.1=96人:陽性と診断された陰性の人
960×0.9=864人:陰性と診断された陰性の人
と、4つの独立した集合ができます
11)陽性と診断された人は
32+96=128人、そのうち32人が実際に陽性。
陽性と診断された人が、
実際に病気Xにかかっている確率は、
32/128=1/4
12)陰性と診断された人は
8+864=872人、
そのうち8人が実際には陽性。
陰性と診断された人が、
実は病気Xにかかっている確率は、
8/864=1/109
となります。
検査の精度が低いと
陽性と診断されたのに実は陰性
という人が多くなります。
これは、コロナウイルスの検査でもいえます。
例えば、1%の人がコロナウイルスにかかっているとして、精度90%の検査を1万人にします。
すると、90人の人が、正しくコロナ陽性と診断され、990人の人が、コロナではないのにコロナ陽性と診断されます。
また、10人の人が実際にはコロナ陽性なのに陰性と診断されてしまいます。
もしも、精度99%だとしても、1万人のうち99人の人がコロナではないのにコロナ陽性と診断されてしまいます。
コロナウイルスの検査を全員にしないのはなぜだろうか?
という疑問もこうして条件付確率を考えると理解できます。
数学A条件付確率の解き方:まとめ
今日は数学Aの条件付確率の解き方についてみてみました。
くじやカードを引く問題の場合は、
「引く順番によって、当たる確率は変わらない」
一方で、
「一人の結果が分かると条件と確率が変化する」
ことを考えて解くことがポイントです。
赤玉白玉・不良品の問題の場合は、
独立した事象の確率を求め
それを足して全体を求める
そして
「特定の条件の確率を、全体の確率から割る」
ことで求めるのがポイントです。
この場合の別解として。
独立した事象を、確率ではなく
「集合の要素」で考えることもできます。
条件付き確率の問題が
サービス問題になれるようにしっかりマスターしましょう!




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