
都立産業技術高等専門学校(都立産技高専)は日本で数少ない公立の高専です。
今回はそんな都立産業技術高等専門学校について詳しく解説していきます。
情報は随時更新していきます。
高専ってなに?
高専とは何でしょうか?
「高専とは何か」ということを丁寧に解説した記事がありますので、
まず、こちらをご覧ください(新しいタブで開きます)。
高専は高校とは全くの別物です。
非常に短くまとめると、
5年制の、高校と大学のハイブリッドです。
校則も大学の様に非常に緩く、自由な学校です。
高専は知らなくてもロボコンは知っている人は多いのではないでしょうか。
毎年NHKで放送されていますが、これは高専が主体となっています。


また、一般の高校は中等教育機関であるのに対し、
高専は大学や短大と同じく、高等教育機関に分類されます
都立産業技術高専ってどんな学校?授業・行事はどんな感じ?
都立産業技術高専は2006年に東京都立高専と東京都立航空高専が統合して誕生した学校です。
授業
都立産技高専は
入学時は1つの学科(高校のコースのようなもの)で、
2年に進学すると8つのコース(専門)から、自分が進みたいコースを1つ選択します。
1年から5年にかけて、理系科目重視で授業が行われます。
1年次は一般科目がほとんどですが、
学年が進むにつれ、専門科目が増えていきます。
2年のコース選択の参考にするために、
1年次ではものづくり実験演習が行われます。
5年次には卒業研究があります。
普通の大学と同じように、研究室に配属され研究を行います。
全ての高専に共通する話ですが、
赤点は100点中60点です。
そして、数個単位を落とすと留年してしまいます。
普通の高校ではありえませんが、毎年1クラスで1人から2人ほどが留年・退学します。
平成27年のデータですが、高専全体で留年率は3.7%、退学率は2.6%となっています。
数値を見ると、5年生になったときに1年生で一緒に入学した学生の内、
2割程が留年し、1割程が退学していることになります。
1クラスが40人程度なので8人程が留年して、4人程が退学することになりますね。
ただ、内部の状況として、1年留年した人が繰り返し留年することもありますのでこの人数より若干少なくなると思います。
4回留年した人などもいます。
勉強をしっかりしないと卒業できない特徴が企業からの高い評価につながっているんですね。
ただ、60点と言ってもしっかり課題をこなし、テスト勉強をすれば、留年することはありません。
行事
1年生ではオリエンテーションがあり、
コロナ前は静岡県にある国立青少年交流の家で宿泊していました。
また、毎年、コースによって差はありますが、学外の企業を見学しに行きます。
4年生ではコースごとに異なりますが、校外教室という名の修学旅行があるようです。
沖縄や北海道に行っています。
5月 | 体育祭 |
10月 | 産技祭(高専祭・文化祭) |
コロナで開催がされていないかもしれませんが、
5月に体育祭、10月に産技祭という文化祭があります。
体育祭は騎馬戦、仮装リレーなどが行われます。
学校で仮装をする人もいて、ゆるく楽しく行われます。
単位には換算されないので、登校しない人や、途中で帰宅する人もいます。
そのためか、最後に参加賞が配布されます。
そして何より、注目すべきなのは10月下旬に行われる産技祭です。
地域の人も自由に出入りできます。
学生はこの産技祭には力を入れており、学生会が主導で企画、運営を行います。
出店なども出店され、クラスごとに展示を行います。
ビデオゲームなどを作成するグループもあります。
現在はコロナでオンライン開催のようです。
受験生や保護者、地域の方が高専を知る重要な機会なので、早く普通に開催されるようになればいいですね。
学生生活
校則は無いに等しいです。
バイトなども普通の大学の様に自由です。(一応非推奨という立場はとっていますが)
その他にも髪染め、髪型、服装、ピアスなど完全に自由です。
先生によってはスマホを授業中にいじるのはNGの場合はありますが、休み時間にゲーム機でゲームをしようが、スマホをいじろうが、なにも言われません。
休み時間に、買い物に行っても問題ありません。
産技高専は2年以降クラス分けがありません。
友達とは非常に仲良くなることができますね。
都立産業技術高専の進路は?進学実績は?
産技高専ではおよそ3割の100人が進学、7割の200人が就職します。
就職
まずは就職実績について見ていきましょう。
機械システム工学コース | 旭化成、本田技研工業、NTTファシリティーズ中央など |
生産システム工学コース | JR東日本メカトロサービス、アサヒビール、オリンパスなど |
電気電子工学コース | 住友電設、西日本電気テック、東京電力ホールディングスなど |
電子情報工学コース | 三菱電機ビルテクノサービス、NECネッツエスアイ・サービス、NTTコムソリューションズなど |
情報通信工学コース | セコム、パナソニック、ロッテなど |
ロボット工学コース | アクアエンジニアリング、三菱電機ビルテクノサービス、キヤノンなど |
航空宇宙工学コース | ENEOS、花王、日本飛行機など |
医療福祉工学コース | キヤノン、ソフトバンク、トヨタシステムズなど |
聞いたことのある会社が多くありますね。
基本的には会社側から求人が来て、産技高専が就職先をあっせんしてくれます。
産技高専からのフォローを受けながら就職が出来るんですね。
また、求人は1人につき10.5社もの求人が来ます。
引く手あまたですね。
この高い就職実績も産技高専の魅力の一つです。
進学
割と知られていないことですが、高専からは大学の理系学部に編入ができます。
編入というのは編入学試験という試験を受けて大学の3年に入学することです。(まれに2年に入学することもあります)
編入については以下の記事で詳しく説明しているのでご覧ください(新しいタブで開きます)。
それでは合格実績を見ていきましょう。
2021年
大学名 | 人数 |
---|---|
農工大・電通大 | 8名 |
都立大 | 14名 |
千葉大 | 4名 |
長岡・豊橋技科大 | 21名 |
専攻科 | 37名 |
2020年
大学名 | 人数 |
---|---|
横浜国立大・農工大・電通大 | 7名 |
都立大 | 10名 |
千葉大 | 2名 |
長岡・豊橋技科大 | 22名 |
専攻科 | 36名 |
毎年、進学者のおよそ3割ほどが専攻科に進んでいます。
専攻科というのは高専の本科を卒業した後にさらに2年間通うものです。
専攻科については以下の記事で詳しく説明しているのでご覧ください(新しいタブで開きます)。
その他には技科大という、高専卒業者のための大学に通うことになります。
その他はほとんどの人が国公立大学に進むことになります。
技科大も国立大学ですのでおよそ6割の学生が国公立大学に進学しています。


また、非常に重要な点ですが、産技高専は都立大学への推薦枠を持っています。
産技高専内で成績が良いと、この枠を使って都立大学に入学出来ます。
この推薦枠を利用さえできれば、落ちることはほとんどありません。
高専は就職のイメージが強いかもしれませんが、進学実績もかなり高いですね。
都立産業技術高専の倍率、偏差値、内申の目安は?
産技高専は、都立高校と入試が別日程です。
さらに、国立の高専は別日程のため、1校出願が出来ます。
関東であれば東京高専、茨城高専、小山高専、木更津高専という国立高専があります。
そのため、都立高校と国立高専、産技高専の3つに出願することが可能です。
興味があれば受験してみると良いと思います。
ただ、推薦は合格手続きが早いですので、受かれば行く人でないと、受けても意味がありません。
入試の順番としては国立高専、産技高専、都立高校です。
倍率
過去2年の倍率を見てみましょう。
一般入試の実質倍率は
2021年 | 1.43 |
2020年 | 1.86 |
となっています。
応募締め切り時は、上記の倍率より高い倍率になりますが
受験辞退者がいるため、
実質倍率はそれよりは少し小さくなります。
推薦入試の実質倍率は
2021年 | 2.39 |
2020年 | 3.06 |
となっています。
偏差値
次は偏差値を見ていきましょう。
Vもぎ
60%合格率 | 偏差値52 換算内申34 |
Wもぎ
60%合格率 | 偏差値51 換算内申34 |
高専は特殊な形態なので、合格者の分布も幅広く、Vもぎの偏差値60の人や、他県のテストですが偏差値66という人もいるようです。
都立産業技術高専に受かるためにはどんな勉強をしたらいいの?
説明会・個別相談会では、
・合格者の点数分布
・入試問題の傾向
などを教えてもらえるそうです。
また、産技高専の雰囲気を知る貴重な機会ですので、
産技高専への入学を考えている方は
説明会・個別相談会には行った方がいいでしょう。
次に試験の配点から、どのような対策が必要か見ていきましょう。
まずは推薦入試の配点を見てみます。
調査書 | 面接 | 小論文 |
---|---|---|
500 | 300 | 200 |
次に一般入試の配点を見てみます。
学力検査 | 調査書 |
---|---|
700 | 300 |
推薦入試は調査書の割合が非常に高くなっています。
この為、本番での挽回は不可能ではないですが、難しくなっています。
一般入試は学力検査が国・数・英で行われます。
また、数学のみ点数が1.5倍で計算されます。
また、調査書は
国・数・英 | 1倍 |
理科 | 1.4倍 |
その他 | 1.2倍 |
で計算されます。
本番で試験がある三教科は割合が低く、本番にない教科は割合が高くなっています。
2020年に実施された試験では、
推薦入試の合格者の内申平均が4.1、
一般入試の合格者の内申平均が3.6だったそうです
利用される内申は3年のものだけですので、3年は内申を上げるようにしましょう。
また、理科は重要視されますので、
しっかりと定期試験で点数を取って内申点をUPさせましょう。
一般入試は独自問題です。
過去問を公表していますので、過去問を見ての対策が必須です。
おすすめの参考書・塾・サービスは?
おすすめの参考書
[改訂版 2022年度]東京都立産業技術高等専門学校受験合格セット問題集(9冊)


ネット上で唯一発売されている産技高専特化の問題集です。
受験生が毎年500人程度しかいないので、値段は非常に高くなっていますが、
他に選択肢があまりないので合格を目指すのであれば買ってみることをオススメします。
都立産業技術高専のアクセスは?
都立産業技術高専(品川キャンパス)の住所は
(品川キャンパス)
〒140-0011
東京都品川区東大井1-10-40
です。
都立産業技術高専(品川キャンパス)のアクセスは
京浜急行 鮫洲駅より | 徒歩9分 |
京浜急行 青物横丁駅より | 徒歩10分 |
りんかい線 品川シーサイド駅より | 徒歩3分 |
都営バス 都立産業技術高専品川キャンパス前より | 徒歩2分 |
です。
都立産業技術高専(荒川キャンパス)の住所は
(荒川キャンパス)
〒116-8523
東京都荒川区南千住8-17-1
です。
都立産業技術高専(荒川キャンパス)のアクセスは
JR常磐線 南千住駅より | 徒歩15分 |
東武伊勢崎線 鐘ヶ淵駅より | 徒歩18分 |
東武伊勢崎線 牛田駅より | 徒歩20分 |
京成電鉄 京成関屋駅より | 徒歩20分 |
都営バス 都立産業技術高専荒川キャンパス前より | 徒歩1分 |
です。
今回は都立産業技術高専について説明しました。
高校から大学のような自由な環境に身を置きたい方に高専はオススメです。
是非この記事を参考に高校選びをしていただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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